
【古代コイン】リディアのライオンが呼び覚ます王国の遺産
~ アルテミス神殿の秘宝、クロイソスの改革、そして幻のWALWET銘まで ~
アンティークコインの世界へようこそ。
aokicoin店主の青木です。
もし、2700年近い昔の人々が使っていた“本格的な貨幣”を、あなたの手のひらに収められるとしたら――そんなロマンを体現するのが、リディア王国のエレクトラム三分の一スタテル貨(トリテ)です。
今回は、史料や学説をとことん掘り下げ、「aokicoinのブログを読めば全部わかる」を目指す総力記事でお届けします。ぜひ古代の王宮や市場に想いを馳せながらお読みください!
目次
- アルテミス神殿での“大量出土”が語る、リディアコインの実在感
- 黄金色に煌めくエレクトラム:王のシニョリッジと冶金の妙
- 「あの鼻のイボは何?」獅子頭が秘める謎とレアな王名刻字
- クロイソスの改革:エレクトラムから純金・純銀へ
- ホード発見と博物館:リディアコインが辿り着いた場所
- オークション相場と投資価値:1,000ドル~7,000ドル超え
- aokicoin店主・青木から:古代コインの魅力を丸ごと手に入れる一枚
- まとめ:リディア貨で“歴史の原点”を味わう
アルテミス神殿での“大量出土”が語る、リディアコインの実在感

トルコ・エフェソスにあるアルテミス神殿(世界の七不思議の一つにも数えられる壮大な神殿)は、実はリディアのエレクトラム貨がまとまって発見された有名スポット。
奉納品としてのコイン
1904~1905年の発掘調査で、獅子頭が刻まれたエレクトラム貨を含む多くのコインが見つかりました。これらは神殿への献納品とされ、当時、硬貨がすでに“神への捧げもの”として通用するほど認知されていたことを示します。
博物館に収蔵される逸品たち
発掘されたコインの一部は、トルコの考古学博物館や大英博物館などに収蔵。今では世界の主要博物館で鑑賞できる“リアルな証拠”として学術的にも高い価値を持ちます。
青木のひとこと
発掘レポートを読み漁るたびに、「古代の人々が、コインを神への贈り物に選んだのか…」と想像を巡らせ、鳥肌が立ちます。貨幣自体が“神聖視”されていた――やはり、現代とは違う思考が感じられて面白いですね。
黄金色に煌めくエレクトラム:王のシニョリッジと冶金の妙

リディアのエレクトラム貨は、自然金に含まれる銀の割合が場所によって異なるのを逆手にとり、あえて銀や銅を加えて金含有率を約54%前後に安定化させたもの。
同じ重さ=同じ価値を実現
これによって、取引の際にいちいち秤で金を計量しなくても済むように。いわば「刻印された時点で価値が保証される」という、世界初級の公権力による貨幣制度が始まりました。
王の通貨発行益(シニョリッジ)
金の比率を低く設定すれば、同じ金の量でより多くのコインを鋳造できる=王権が利益を得られる仕組みが成立。古代の技術&政治経済が見事に噛み合った画期的システムといえます。
実際の金・銀比率
現代の分析では、エレクトラム貨の金含有率は54%前後、銀約44%、残りの1~2%が銅など。自然金が80%を超えることも珍しくないことを考えると、かなり大胆に銀を追加していたとわかります。
「あの鼻のイボは何?」獅子頭が秘める謎とレアな王名刻字

リディアコインの表面には右向きの獅子の頭が打刻され、その鼻先や額に小さな星形突起が見られます。
昇る太陽説
太陽神との結びつきを示し、ライオンという“王権の象徴”と合わせることで、王の神性と強大さをアピール。
単なる装飾or刻印のミス説
一部研究者は「装飾の一環であり、深い意味はないのでは」という慎重な見方も。
“WALWET”や“KUKALIM”の刻字
さらにマニアの間で話題になるのが、「WALWET」や「KUKALIM」といったリディア語の文字刻印が残るレアタイプ。
- WALWET = アリャッテス2世の名前?
リディア文字で“Walwet”がアリャッテス王を示すのではと言われ、これが実現すれば“王名入り最古コイン”の一角に。 - 希少性は絶大
刻字がはっきり残る個体は市場に出回る数がさらに限られており、高額落札が相次いでいます。
青木の視点
「イボの突起」と「王名刻字」のセットなんて出会ったら、興奮しすぎて夜眠れません(笑)。コレクターの欲求をこれでもかと刺激してくれるのがリディア貨の奥深さですね。
クロイソスの改革:エレクトラムから純金・純銀へ

アリュアッテス2世の後を継いだクロイソス王(在位: 紀元前560~546年頃)は、膨大な富とともに「金持ちクロイソス」の名を歴史に残しました。
なぜエレクトラムを廃止した?
クロイソスは、金と銀を完全に分離したコイン(純金貨・純銀貨)を発行。エレクトラムは金含有率のバラつきという弱点が残り、商人や外国人傭兵たちにとって扱いにくかった面も考えられます。
ライオン+牡牛の新デザイン
クロイソス貨では、表面に向かい合う獅子と牡牛の図柄が導入されました。獅子=王権、牡牛=豊饒の象徴など諸説ありますが、いずれにしてもシンボルが複合化され、リディア貨のデザインがさらに発展していったことは確かです。
比較が楽しい
アリャッテス時代の獅子単独エレクトラム vs. クロイソス時代の純金・純銀貨(獅子+牡牛)。同じ“リディア”でも、政治・経済の変化がコインに反映されているのを見比べると、古代のドラマをより身近に感じられます。
ホード発見と博物館:リディアコインが辿り着いた場所

ホード(埋蔵貨)の発見事例
リディアやイオニア地方では、戦乱や地震などで地中に埋もれた「ホード(宝物)」がたびたび発掘され、その中からまとまった数のエレクトラム貨が出土することがあります。
主要コレクション
前述のアルテミス神殿での出土品は、トルコの博物館や大英博物館に収蔵。また、アメリカ古代貨幣学会(ANS)やボストン美術館などにも状態の良いリディア金貨が所蔵され、学術研究が進められています。
青木の余談
大英博物館で展示されている獅子頭エレクトラムを初めて見たときは、1時間くらいその前に立ち尽くしてしまいました(笑)。古代のロマンを直接目に焼き付けると、コレクター魂が震えます!
オークション相場と投資価値:1,000ドル~7,000ドル超え

リディアのエレクトラム三分の一スタテル貨はコレクター間でも非常に人気が高く、直近のオークションでは下記のような価格帯が一般的です。
- VF~XFクラス:1,000~2,000ドル程度
- Ch XF~AU:4,000~7,000ドル、時にはそれ以上
- WALWET銘入りや特に美麗な打刻、由緒あるコレクション・プロヴェナンス付きはさらに高騰
投資家目線:今後も上昇トレンド?
“世界最古級”“王名刻字入りならなおさら”という強力なブランド力に加え、実際の出土数に限りがあるため、長期的にも価値が保たれやすいと見る向きが多いです。もちろん相場の変動要因は様々ありますが、歴史的プレミアはそう簡単に揺らぎません。
aokicoin店主・青木より:古代コインの魅力を丸ごと手に入れる一枚
リディアのエレクトラム貨を手にした瞬間、私はいつも「これが古代人の“毎日の支払い”を支えていたのか…」と感慨に浸ります。しかも、考古学出土例やクロイソス改革など、物語が尽きないのが嬉しいところ。
ライオンの迫力、鼻の星状突起、インカスの原始的凹印
どれもが「紀元前7~6世紀にタイムスリップしたかのようなリアリティ」を感じさせてくれます。
ワクワクするマニアック要素
星形突起=太陽? WALWET = アリャッテス? など仮説や学説が行き交う分野だからこそ、知るほど面白くなってしまうのです。
(追記)実は、このリディアのエレクトラム三分の一スタテル貨 を、ただいま当店 aokicoin にて販売中です。
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外部認証(XF Strike5/5 Surface3/5)が付いており、状態も素晴らしい個体ですので、この機会にぜひ「古代リディアの息吹」を手にとっていただければと思います!
ぜひ、あなたのコレクションに
aokicoinではリディア貨を含む古代ギリシア・ローマ、近世欧米のアンティークコインまで幅広く取り扱っています。もしご興味があれば、気軽にお問い合わせください。皆さまが“古代の息吹”に触れられるよう、全力でお力添えさせていただきます!
まとめ:リディア貨で“歴史の原点”を味わう

- エフェソスのアルテミス神殿出土 など実証例豊富 → 確固たる歴史的実在感
- エレクトラム独自の冶金技術 → 金含有率54%前後に調整、シニョリッジによる王権維持
- 獅子+星突起のデザイン、レアな「WALWET」刻字 → マニアゴコロをくすぐる要素満載
- クロイソスの改革 で金銀分離 → 最古級コインから“一歩進んだ”貨幣史の転換点へ
- 相場:1,000~7,000ドル超(状態・刻字・由緒などで変動) → 歴史的&投資的価値が高い
「リディアのエレクトラム三分の一スタテル貨」を語るだけで、古代オリエントの世界が一気に広がる――それがこのコインの真骨頂です。今ここに残る硬貨を通じて、王たちの戦い、神殿での奉納、市場や傭兵のやり取りまで思いを馳せられるのは、アンティークコインならではの喜びではないでしょうか。
ぜひ本記事を参考に、さらなるロマンと探究心を満喫していただければ幸いです。